ゆるキャラって・・・

ひこにゃん」の活躍から全国にブームとなったゆるキャラ。ネットでこんな記事を見つけた。

日本一ゆるキャラにへしこちゃん 週刊スパの企画で発表(福井新聞 10月26日)

 福井県美浜町特産のへしこをPRする同町のイメージキャラクター「へしこちゃん」が、雑誌が主催した「ゆるキャラアワード2009」のグランプリを獲得した。「最もゆるキャラらしい」と、全国の300を超えるキャラクターの中から選ばれた。同町商工観光課は「ゆるキャラブームの中で、トップになれてうれしい。へしことともに美浜町知名度を、さらに高めたい」と喜んでいる。

 へしこちゃんは2006年に同課が製作。へしことなったサバが、たるから飛び出している様子を表現した。「美浜野へし子」という本名や、水揚げされる場所にちなんだ「ノルウェー沖大学留学」などユニークな“経歴”とともにPRソングなどもあり、町内外のイベントや出向宣伝で活躍している。

 今回の審査は週刊スパの企画で、10月27日号で結果を発表。「ゆるキャラ」の命名者で、全国のゆるキャラに詳しい作家、みうらじゅんさんが選定にあたった。みうらさんは、へしこちゃんについて「かわいい、で終わってしまうゆるキャラが多い中、『これ何?』と思わせる衝撃がすごくいい。ツッコミどころ満載」と、独特の言い回しで評している。

 同課は「受賞の知らせを聞いてまず驚いたが、長年PRし続けてよかった。より身近なキャラクターとしてPRできるよう、グッズなども製作して美浜町知名度を、もっともっと高めていきたい」としている。

 へしこちゃんは出向宣伝などで?出張?の日以外は、JR美浜駅などが入る同町観光センター内の展示スペースに設置。観光客らが一緒に記念撮影できるようになっている。

 11月中旬には山口治太郎町長が、へしこちゃんにグランプリを祝するたすきや表彰状などを贈呈するイベントが予定されている


 ・・・・喜ぶなよ

 なんとなくゆるキャラの「ゆる」って、癒し系的なイメージで捉えられがちだが、そもそもは「企画がゆるい」、つまり地方のセンスのなさをバカにしつつ、温かい目で見ようという趣旨の言葉である。
 そもそも、みうら氏がゆるキャラの本を出版した当時はまだ「ひこにゃん」も居なかった。

 だから、氏のコメントは、「最近は妙に垢抜けてかわいい地域キャラクターが増えてきたが、へしこちゃんは本来のゆるキャラが持つ、地方独特のずれが残っている」と誉めているのである。これはある意味、現在の全国のゆるキャラブームに乗っていないということでもある。

 確かに、ここしばらくはブームでとりあえず可愛ければいいというような安直なゆるキャラが増えている。
 ただ、実際に企画する立場になると、可愛くなければ、イベントに出ても役に立たないのも事実。あえてキモ系を狙って大金を注ぎ込み、知名度向上を果たした奈良市のような大博打は普通の自治体にはできないだろう。
 実際に自分も自治体の人には「インパクトを狙うと絶対に外す。まず可愛さ、親しみやすさ。地域性は後付けでいい」と話してきたので批判はできる立場にはないし、限定された予算の中でつくるキャラクターはそのほうがいいという考えは変わっていないが、それでも最近のいかにひこにゃんをパクるかみたいな安直さは目に余るものがある。

 安直に業者に依頼すれば、基本的にパクりの企画になるだろうし、デザイン公募をしても、ゆるキャラのイメージがひこにゃんに固定されているので、応募作品の多くがそれっぽいものとなり、選考側でも同様の意識で選んでしまう。新しいカテゴリーを作らないと、もはや「ゆるキャラ」の枠組みでは、新しいものは出てこないのかもしれない。

 その意味では、ゆるキャラになり損ねた「へしこちゃん」はやっぱり素晴らしいのかもしれない。

 ちなみに言い訳すると、以前に通っていた居酒屋でメニューに「へしこ茶漬け」を作ってもらったほどへしこ好きです。だから美浜町の皆さん怒らないでね。