面白かった本『アイデアのちから』

『アイデアのちから』(日経BP社)は、久しぶりに、読んでいる途中から誰かに勧めたくなる本。読み終わる前に、何人かに既に推薦してしまった。

内容は、いかにして他人にアイデアを伝えるか、具体的な事例に基づいて、その方法が紹介されている。

この本によると、アイデアが記憶に焼きつくには?単純明快であること、?意外性があること、?具体的であること、?信頼性があること、?感情に訴えること、?物語性があること、の六つの原則がある。
書かれたものを見るとあたりまえのようだが、実際に紹介されている事例を読むと、いかに当たり前のことが理解されていないかが解ってくる。

地域の活性化にせよ、商売にせよ、アイデアを伝え、その相手に行動してもらうことが重要なのは言うまでもない。この本を読んでも、その技術が身につくとは限らないが、少なくとも読んでいない人に比べて、考え方がかなり違ってくるのは間違いないだろう。

この本の中で紹介されている『影響力の武器』(誠信書房)は、自分の中でもっとも勧めたい本の最上位にランクされる本。『急に売れ始めるには訳がある』(ソフトバンク文庫)もかなりオススメの本である。この三冊を合わせて読んでもらえると、「人にモノを伝えること」に関して、相当な知識を得られるだろう。

なお、この本の唯一にして最も残念なのがタイトルである。原題は「Made to
Stick -Why Some Ideas Survive and Others Die」。どう見ても、アイデアの力ではなく、アイデアを生かす方法という主旨である。少なくとも原題の副タイトルをそのまま邦題にしてくれたらもっと売れるのに、と思ってしまった。