『「売れるスタッフ」になる!』

『「売れるスタッフ」になる!』(内藤加奈子:フォレスト出版)は、「VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)+接客で楽しく売上アップ」というサブタイトルに釣られて書店で手に取った。実はVMDは、今、少し意識しているテーマなのである。

読んでみた結果、残念なことに、あまりVMDについて突っ込んだ記載はなく、タイトルどおり、アパレルを意識した店員の教育+やる気アップという内容だったが、明らかにこの本の対象ではない自分でも、意外に楽しく読むことができた。

最初に興味を惹いたのが、まえがきにある「この本の使用上の注意」、特にそのふたつ目に、このように書かれている。

「この本は、一部、今までの販売技術の常識を著しく逸脱する内容がふくまれています。怒り出すような方もいらっしゃるかもしれません。今まで正しいと思っていたことが、まったく役に立たないというようなショッキングな内容を含んでいますので、ご注意ください」

実際に読んでみると、そこまでの逸脱はないのだが、これまでの旧態依然とした陳列や接客をしている人にとっては、それなりに刺激を受ける内容だろう。

個人的に面白かったのが、売れないときの対応方法。
ひとつが、バックヤードを掃除すること、できているかどうかは別にしてこれは基本かもしれない。そしてもうひとつが、自分自身が服を着替えるということ。気分を変えて仕切りなおすためのこの方法は、実際に現場にいないと思いつかない発想だと思った。

文字も大きく、30分で読めた本。この本の対象であるアパレルの若い店員さんにとっては、とっつきやすい分量で、読みやすい内容である。若い店員さんに限らず、指導する立場にある人や、ちょっと行き詰まりを感じている店員さんや経営者にも勧めてみたい本である。