「本当に○○歳!?」みたいな広告
最近、やたらとよく見かける広告に、ちょっとキレイな感じの女性の顔のアップに「本当に○○歳!?」という感じのキャッチコピーがついているやつがある。アンチエイジングという分野の広告で、売っているのはたいていサプリメントなどの健康食品だ。
写真を見ると確かにその年齢には見えない。十歳できかないくらい若く見える。コラーゲンとかグルコサミンとかコンドロイチンとかコエンザイムとか、いろいろ採ると、このように若くいられるということなんだろう。確かに目を惹く広告である。
しかし考えてみると、この女性の年齢が書かれている通りだとは限らない。そう「本当に○○歳?」というのは、我々が広告の女性に本気で聞いてみたいことなのだ。
100歩譲って年齢が本当だとしても、写真だと色々加工することも可能である。修正してなくても、300枚くらい撮影した中の「奇跡の一枚」かもしれない。
このように疑うとキリはないが、このタイプの広告にはかなり説得力を感じてしまう。
これは、「顔出しの効果」ではないだろうか。つまり、「わざわざ広告に顔を出して、年齢を宣言している」 →「ここまで堂々と顔を出しているのだから、まさか嘘はついてないだろう」 →「きっとこのサプリメントは効果があるに違いない」、という発想をしてしまう。半分は、無意識の発想で、特に意識しなくてもそう感じやすくなってしまうのである。
一般の人よりは、多少は広告に免疫がある(と思っている)自分でも、少し感じるのだから、広告に慣れていない人は、よりそう思うはずである。
この「顔出しの効果」をより早く取り入れ、ちょっとしたブームになった業界がある。
それはビジネス書の世界。著者の顔のアップ写真が表紙に大きく飾られている。最初のうちはもともと著名な著者やキレイめの女性著者だけだったが、そんなに時間を置かずに無名の男性著者でも「とりあえず顔のアップ」みたいな表紙が急増した。これも、「顔を出しているんだから、きっといいことが書かれているに違いない」というような効果が認められたのだろう。
そういう意味では「顔出しの効果」は、まだまだ未開拓の分野がたくさんある。
普通の店や会社なら、躊躇してしまうと思うが、その躊躇することをあえてやることで生まれる説得力が販売につながるのである。
ただし、ビジネス書の業界では、顔出しが増えすぎてしまい、今は逆に減っているように感じる。何事にも慣れがあり、皆が顔出しをすると、それによる説得力はなくなってしまうからだ。
新しい分野で「顔出しの効果」を使うなら、絶対に早めにやるほうがいい。