民営の「道の駅」の可能性

 千葉県市原市にある株式会社諏訪商店を訪ねた。
 この会社は、落花生や海産物など、土産物としての千葉県産品を取り扱う卸売業者。全国の中堅卸売業が苦境に立たされている中、商品のレベルアップと新規取引先の開拓を地道に継続し、頑張っている貴重な卸である。

 さらにすごいのが、小売業への進出。自社の商品と地元の生鮮野菜の直売を組み合わせた「民営版 道の駅」をコンセプトに展開する『房の駅』は、観光客のみならず、地元のお客さんにも大人気である。

 ちょうど行った時には、採れたての落花生が大量入荷したタイミング。草も泥もついた落花生を見る機会は千葉県の人でもあまりないらしく、お客さんが引き寄せられていた。

 国土交通省の補助により自治体が建造する「道の駅」は全国に展開されており、当初の「一般道のサービスエリア」というコンセプトが忘れ去られるくらいに一般化した。全国に917箇所も設置されており、施設ごとに良し悪しはあるものの、おおむね人気のスポットとなっており、地域活性化起爆剤としても未だに注目を集め続けている。

 ただし、駐車場、トイレ、情報提供施設については24時間営業が求められるなど、設置や運用の条件が厳しいため、やりたくてもやれない自治体も多いのも事実。そうした点からは、民営で何の制約も受けない「房の駅」のようなモデルは、これからますます増える可能性を秘めている。
 実際に「房の駅」への視察は多く、コンセプトを真似て作られた『村の駅』(静岡県三島市)などは地元では大人気の施設になっている。

 ところで、ここの諏訪社長は、本当に勉強熱心で実行力がある「後継者の鑑」というべき人物。昔から知っているだけに会うたびに成長っぷりに感心してしまう。
 今は経営を譲り、自身で農業を営む先代社長に分けていただいた採れたて落花生茹でつつ、わが身を振り返り、ちょっと反省である。