『セミナー講師になって稼ぐ方法 実践編』

セミナー講師になって稼ぐ方法 実践編』(松尾昭仁:グラフ社)を読んだ。

一般の人は、セミナーの講師になるということはほとんどないと思うが、セミナーを主催し、見込み客を集め、実際のお客さんにするという手法は、セミナー営業と呼ばれ、特に企業などを対象とする営業では一般的な営業手法のひとつでである。

こうした集客方法がもっとも得意な企業にコンサルティング会社の船井総研がある。彼らの徹底したセミナー活用の営業力は本当に見事という他ない。
船井総研コンサルタントが書いたセミナー営業の本『』(:)も先日、読ませていただいた。

さて、この本。結論から言うと、セミナー講師をする人には、かなりオススメである。


実は自分自身でもセミナーや講演会の講師はかなりやっており、その経験を後輩に伝えるために、『中小企業診断士が講師の仕事するために』というPDFの小冊子を作ったことがあるのだが、かなり内容が重なっている。自分がかなり考えて整理した内容なので、やはり経験者は同じように考えるもんだと納得してしまった。

とはいえ、無料で提供している自分の小冊子と比べ、こちらは書店に並んでいる本。内容は、よりきめ細かく行き届いたものとなっており、これから講師をする人や、まだ講師経験の浅い人には間違いなく役立つ内容だろう。2009年8月に出版されたこの本が先に出ていたら、自分では小冊子を作らなかったに違いない。

ただし、勘違いしてはいけないのは、この本を読んでもセミナーの講師になれる訳ではないということ。書かれているのはあくまで、講師という仕事に対する心構えと、ふるまい方である。
セミナー講師としての話の内容は、それぞれが自分自身で得てきた知識や経験から作っていくことが前提である。


なお、ご参考までに上で書いたPDFの小冊子は、こちらからダウンロードできるので、ご興味のある方はどうぞ。

向日市の「京都激辛商店街」

 以前にインターネットで新聞記事を見て「これはうまくいけばブレイクする企画やな」と少し気にしていたのが、京都府向日市の「京都激辛商店街」。最初に見た記事は、企画の段階だったが、しばらくぶりにインターネットで見てみたところ、無事オープンにこぎつけ、マスコミでも注目を集めているらしい。

 いい企画だと思ったのは、こんな理由から。

・単一商店街にこだわらず市内全域から参加店舗を集めていること
・飲食店が中心で、小売店でも加工工程のある粗利が取りやすい業種であること
・「激辛」のコンセプトがわかりやすいこと
・「激辛」商品は比較的開発しやすいこと
・「激辛」にはかなりマニアが存在していること

 とはいえ、事業を立ち上げるのは大変なこと。中心となってられる方は相当なご苦労をされていることだろう。

 最近は、食べ物によるまちおこしが各地で注目されている。宇都宮市の餃子や富士宮市のやきそば、佐世保市ハンバーガー等、観光として成功した例も数多いが、これらの都市のようにある種類の店がもともと多くないと売り出すのは困難であるのは誰でもわかることである。
 それだけではない。店がたくさんあっても売出しが難しい例もある。例えば、北海道旭川市はラーメン屋さんが数多く、地元民もそれは認めているが、ラーメンの種類が多様すぎて、「味噌」とか「豚骨醤油」というようなまとまりがないため、「これが旭川ラーメン」というものが決められないため、それなりにはラーメンの名所として有名ではあるが、全国的な知名度はいまひとつである。

 しかし、この向日市のとりくみは、特に名物となる食品がなくても、「激辛」という共通テーマでくくることで新たな名物を作ることができる可能性を示した・・・とはまだいえないが、その可能性が見出せたのは間違いない。

 あとは、どんどん参加店を増やして、どんどんメニューが進化すること。早いうちに一度見学、というか試食に行ってみたいと思う。

『日本の農業は成長産業に変えられる』

出張中は本をまとめて読むチャンスなのだが、今回の出張では、移動中にXOOPSというソフトというかシステムの基本を理解すると決めていたので、そのテキストが中心。唯一持参した本がこの『日本の農業は成長産業に変えられる』(大泉一貫:洋泉社)である。

 基本的には日本の農業の将来を前向きに捉え、その障壁となっている日本の行政システムを批判するというものである。その意味では、最近の農業について書かれている本のメインストリームと言えるのかもしれない。
 しかし、例えば農協について批判的に書くだけでなく、これまで果たしてきた役割、特に農協主導で地域の特産が多数できてきたことなどには積極的な評価も行っており、著者が状況を客観的に捉えようとしているのが伝わる内容だと感じた。

 以前に読んだ『農協の大罪』 (山下一仁:宝島社新書) でも強く語られているが、本書でも減反政策が日本の農業弱体化の核心であるとされている。減反による米価の維持、すなわち兼業農家への優遇が、時代を経て完全に裏目に出たのが現代だということである。

 本書では、農業への新規参入の促進により今後の展開が期待できるとしている。これは、まったくの同感である。だいたいにおいて過去に栄え、その後衰退を長期にわたって続けている業界は、新規参入を拒むシステムができているものである。

 ただし本書では、新規参入を小手先程度にしか推進できない現状の政治、行政のシステムを嘆いている。これは、自民党だけでなく民主党の政策に対しても同様であるため、少なくとも短期的に日本の農業を成長産業にするのは困難だと感じてしまう読後感だった。

笠岡ラーメン

 尾道から岡山に移動する途中で、笠岡という駅で途中下車、「笠岡ラーメン」を食べてみた。
 岡山出身の知人に教えてもらうまで、笠岡ラーメンの存在をまったく知らなかったのだが、「鶏がらスープ、しょうゆ味、鶏チャーシュー」というのが特徴で、他にないラーメンとのこと。

 途中下車のためあまり時間がなかく、駅の近くの中華料理屋さんっぽい店に「笠岡ラーメン」がメニューとして出てたので注文した。
 スープにやや甘みがあるのが特徴、でもインパクトがあったのが鶏チャーシューだ。歯応えがあり、かみ締めるほどに味が出てくるイメージである。かなり好きな味だった。

 最近はご当地ラーメンの数が増え、それだけでは町おこしの目玉にならなくなっている状況であるが、その土地土地で、地元に愛されて続いている味があるというのは素晴らしいことだと思う。観光客が呼べなくても、ずっと続いて欲しい伝統である。

 笠岡はカブトガニの生息地として有名だそうだ。
 次の機会があれば、カブトガニの博物館と、笠岡の中での有名店にチャレンジしてみたい。

 今回の出張は、新福菜館(京都)、尾道ラーメン、笠岡ラーメンとラーメンづくしの旅。嫌いなものではないが、決してラーメンマニアではないのだが・・・

弓削島の「株式会社しまの会社」

 愛媛県上島町の弓削島にある「株式会社しまの会社」が運営する「しまでCafe」に行ってきた。
 ここの代表者である兼頭さんと、半年ほど前に東京でお会いして、一度行きたいとずっと思っていたのだが、偶然、隣の因島に仕事で行く機会ができたので、足を伸ばすことができた。

 天気もよく、夏の島は気持ちが良かった。
 運営されている「しまでカフェ」にもかなり利用者がいるみたいで、順調そうである。

 この「しまの会社」は、地域が自律的に発展するための機能となるべく、兼頭さんが中心となり、島の人々からも出資を受けて設立された会社である。兼頭さんは、実は島の出身者ではないのだが、島で様々な活動をしている人々と知り合い、その活動の熱意をカタチにする器として会社を設立するに至ったそうだ。
 現在は、「しまでCafe」の運営や、地域物産の開発と販売を行い、最近では耕作放棄地を農園に戻す活動をされているそうだ。

 地域の活性化を外から応援したり、研究したりする人は多い。(自分自身もそのひとりである)
 しかし、自分自身の生活の何年かをリスクテイクして、地域で活動できる人材はあまりいるものではない。「しまの会社」の運営が今後、どのようになるのか、それはわからない。地域の活性化は「やれば結果につながる」というものではないからだ。

 でも、やらなければ何の結果も出ないことは間違いない。弓削島で他所から来た人材が会社を作り、何かをしようとスタートした。それだけでもすごいこと。東京に居る自分の立場からは、ほんの少しの情報提供と、応援の気持ちしか送るものはないが、期待を込めて見守りたいと思っている。

 写真は、「しまでCafe」の前で兼頭さんと、近所の向島出身で、地域の活性化に興味を持ち、今は広島で地域活性化の活動に頑張っている大学生。

活気が戻る気配・・・尾道の商店街

明日、瀬戸内の因島、弓削島に行く予定なので、今日は尾道泊まり。
早く着いたので、多分、六年ぶりくらいだと思うが、商店街を歩いてみて驚いた。

正直、以前はびっくりするくらい寂れた商店街だったのだが、明らかに活気が戻ってる・・・とは言えないが、戻りつつある気配が漂っている。

それまでおそらく空いていたであろう店舗に、小さいが若い感性の店が出店している。それもひとつやふたつではない。また、おそらく以前からのお店の一部がリニューアルしたであろう店舗も数軒ある。

歩いていて気になった3坪ほどの手作りジャムの店に入ってみた。
近隣で採れた材料のみでジャムをひとりで作り、ひとりで売っているらしい。ベリー系はもちろん、桃、すもも、生姜、ごぼうと、幅広い材料がジャムになっており、おそらく旅行者にはわからないほど、細かい地名の産地が表示されていた。

店主の女性によると、ここしばらくで商店街や近隣の街なかに若者の店が明らかに増えてきたらしい。
NPOによる映画館の再生などもなされ、地域の雰囲気が良くなっているということである。(考えてみれば、尾道ですら街なかに映画館がなくなっているというのが、中心市街地空洞化を象徴してきた事象であるが・・)

「商店街」という立地に新しい店が増えているのを見るとワクワクしてしまう。

以前に行った商店街の中にある銭湯を改装したカフェで、六年前に飲んで異常に美味しかった記憶のあるココアを注文。相変わらず美味しかったが、さすがに夏場にホットココアは合わない。そういえば、前に来たのはきっと寒い季節だったんだろうと思い出した。

 写真は、商店街の中でいちばん外観が気になった店。尾道の写真のポストカードとちょっとした雑貨を売っているお店でした。